実録 貯蓄と実践 3000万保有 Nさんの場合

お金を減らない状態にもっていく、減らないお金を手に入れるまでその方法は様々です。ここでは編集部が実際にあってきたお金のマスターたちを紹介していきます。

メーカー勤務30代のNさんの場合

Nさんは予定通りの時間にインタビューの席を設けた都内の韓国料理店にあらわれました。身長170cm中ごろ、体はやややせ気味。知的なメガネが印象的な青年です。

Q まず3000万円をためるまでの状況について聞いていいですが?仕事が重要だと思うのですが。

A 普通のメーカーのサラリーマンですよ。やや大手の製造業です。3000人規模。私は05年度より社会人としての生活がはじまりました。

よかったところとしては会社の寮があって生活家賃が大幅に浮いたことですね。

Q 寮費が安かったと?無料になる?

A 無料は厳しいようで月間1万2000円です。寮には専属のコックさんもいてまかないが確か夕食290円、朝食150円でした。

夕食はごはんにカレーとかシチューをかけたものが3週に一度程度あり、それが「はずれ」、とりめし炊き込みご飯とかがあたり、という感じです。そこまでおいしくはなかったけれど (笑い)。

Q つらかったこととかありますか?人間関係とか?

いや、それよりも7畳はある部屋だったが風呂トイレ共同なので水道光熱費が浮く反面プライバシーはなく、隣でつけているテレビの番組名がわかるような部屋でした。会社から帰るとまずバラエティ番組をつけて生活音を消すのが日課。結構つらかったです。

Q そろそろ本題に入ってどれくらい毎月積み立てられたんですか?
A 月給が20万円ベースだったので、手取りが17万程度でしたね。ここから寮費のマイナス1万2000円15万8000円程度を通年で貯金するしくみができたのでラッキーでした。

Q そうすると年間200万円程度の貯金ですか?

年ベースで200万から250万程度貯金するになったのです。これが資産を作るエンジンになりました。
結果的に2007年初頭にかけて500万円程度を貯金しました。

A 特別に投資の勉強とかをしましたか?

もともと技術屋ですけど、経済関係にも詳しくなりたくて
投資関連の勉強としては当時勝間和代がカツマーとしてもてはやされていたので、それが主体にして勉強してました。

「年収10倍になる勉強法」から貸借対照表、損益計算書の説明として良書に上げられている「実学入門経営が見える会計」や、これも良書とされている「人事屋の書いた経理の本」などを学習しました。

Q 財テクの本は勉強しましたか?2000年前後と言うと金持ち父さんが流行っていたころでしょう?

A そう!金持ち父さん! よみました。

お金を生み出さないマンションや、土地は資産ではないということを勉強しました。これに対する補完資料として「黄金の羽根」を読みました。金持ち父さんはアメリカの財テクについての本なのでそれを日本版にアレンジメントした本としてこの本は副読本として重要なんです。

Q そうやってためたお金でついに3年目から投資を始めたと?

A こうして貯めた500万円を初めて投資したのは任天堂、アップル、グーグルでした。任天堂は当時DSがライトゲーム層にシェアを確立しており、今後も継続してシェアを撮り続けると考えました。当時1株7万円近くしたんです。

アップルは欧米圏で先行発売されたiphoneが日本に上陸し、iPhone3GSが発表される前。1ドル110円前後で1株150ドルくらい。グーグルは500ドル位でした。アップルを購入するのは世間がまだ騒いでいなかった時なので少し決断が入りました。でも実際に触ってみてととても触感がよく、一度使い始めたら使い続けることは明らかな出来であったので購入しました。

それぞれ投資金額は50万円ずつ150万円程度の購入でした。それ以外は資産のポートフォリオ上分散することが正しいと考えていたので適宜、ドルを50万円分ほど購入していました。

Q 分散投資を主体として考えていたのに銘柄をまとめてしまったんですか?

A そうなんです。そのときは投資の目的も特に決まっていなかったもので。目的のない取引が主でした。これが失敗につながりました。

07年-09年Nさんの投資失敗とリーマンショック

Q リーマンショックではじめて損をされたと?

A 07年の景気は小泉-ブッシュで固められており、足元は盤石な内容でした。07年の年後半には日経平均20000円に届くかというマネー雑誌の内容がささやかれたていたころです。

Q その後サブプライムローンが大変だと報道で言われるようになりましたね。リーマン・ショックが起こると日経平均も下がりました。

A 株価は多くの銘柄で半分になりました。私が購入していた資産は任天堂が50万から30万。アップルが50万から25万。グーグルが30万程度まで目減りしました。半分と考えていいです。

アメリカではリーマン・ショックを金融危機として捉え、大規模な金融緩和であるでもって対処しました。このフレームをどうも理解していなかったです。筋の通らない投資をしてしまいました。

Q 投資に筋が通っていなかったとはどういう意味ですか?

100円を割り込む円高が進むことはなんとなく進むという理解でどこまで進むのか、いつまで進むのか考えない取引でした。

自分の中で消化しきれない状態で投資しているというのは誤りだったと思います特にインデックスファンドによる投資を07年から始めた場合は損が膨らむ一方であったはずです。

Q どういうふうに取引をすればよかったと?

A このとき投資をどうすればよかったのかいいのか、今でも考えるんです。実際に投資を始めたのが働き始めてから2年後くらいに規模500万円ですから、投資を始めるのがちょっと遅かったと考えています。

Q もっとはやく始めていればよかった?

小口で毎月何らかの銘柄を購入し、成功したり失敗したりすればよかったのに、投資はある程度資本と呼ばれるも
のが貯まるまでという思い込みから2年間投資をせずに損失を計上しました。投資というものは毎月するべきものです。

それを後回しして2年後からちょっとした小金をつかみ資本家気分・大物気分で始めたのが行けなかったのです。投資は毎月するべきものです。

だんだんとNさんの発言が熱を帯びてきた。リーマン・ショックを挽回するべくNさんのとった投資とは?

(次回 後編へつづきます。)

 

投資を算数と確率で考える