資産をどのように増やしていったのかのタイプを公開してほしいとの要望から、当編集部が見つけたプチ資産家を紹介する投資実践企画。第一弾は30代で3000万円までの資産を作ることに成功したメーカー勤務のNさんのケースだ。
前回までの内容:資産を着々と増やすことに今まで成功していたNさん。しかし2008年のリーマンショックを経て初めて失敗してしまう。外国株式は為替が30%が下がるとその損失は為替での目減りと株式での目減りが相まって50%前後の値下がりとなったという。さてこのショック後にNさんが取った手法をインタビューしたい。
リーマンショック後
Q リーマンショック後保有していた資産が半分の価値になってしまいますが・・・。
A 当時はこのショックが100年に一度ともいわれていたので、投資については積極的になれませんでした。
Q 投げ捨てたい気持ちはあったと?
A ありました。しかし実際にはすぐに売ったり買ったりというのはかんがえていませんでした。長期的な投資をそもそも考えていたのでその軸から考えると焦ってすぐに売り買いばかりしてしまうのは損になってしまうだろうと思いました。その判断は誤ってはいなかったと思います。
Q すぐには売ってしまわなかった?
A はい。売るとしても半分だけ売るとか、3分の1ずつ売るとか、そのときそのとき見極めて少しずつ売ってゆきました。
時間的に言うとリーマンショックがすぐに起こって半分になったという印象はありますが、底値になるまではかなりの時間があったのです。このとき1年半くらいかけて谷を形成する展開でしたから、その間に投資手法の研究をしてゆきました。泥縄式ですが。
Q 投資の勉強というといろいろありますが?
A インデックス投資について学習したのもこの時です。
長期的にインデックスファンドを購入することが手数料がかからず、最も利益を生み出す手法であるというのがその内容ですが、これを実践しました。
Q えっ?先ほどリーマンショック後は売ったと言っていませんでしたか?
A ひとしきりダメージの少ない時に数段階に分けて売った後は冷静さも相まって徐々に買っていったのです。
Q 冷静になると買うことが正しいと思ったわけですね。
A リーマンショックにより確実に下がっていくのですが、これに対して買って行っていました。ダウ・ジョーンズのインデックス投資をダウ30のポイントが8800ポイントくらいの時に少量ずつ購入していってました。
当時の為替が95円台位だったと記憶しているので、為替が民主党政権の政策で円高が続いていましたから、そこそこの利益を出すまでに時間がかかってしまいました。
これは早くても2010年位まで利益が出ない投資だったと思います。3年くらいの塩漬けコースですね。
Q その投資手法で3000万円を構築したのですか?
A いいえ違います。その後、インデックス投資するのもバカバカしいじゃないかと思うようになってしまいました。インデックスというクラスの平均に投資するのではなくて、クラスの優等生に投資すればいいじゃないかと思うようになったのです。この時の手法としては銘柄別業種別に分け、その中でも営業利益率が高い会社を選別するという手法をとっていました。
Q 投資手法をちょくちょく変えるのですね。編集部としてはあまりそのような手法を聞いたことがないのですが。
A もともと新しものが好きなのです。ちょくちょくは変えていますが、それでも長期投資を考えつつ、銘柄を考えてというところは揃えてます。
Q 最終的にはどの程度利益となったのですか?
A そのように工夫しても正直利益というものは株式投資、インデックス投資、営業利益率換算投資ではそれほどあがりませんでした。年率5%が取れるか取れないかという寂しい内容であったと思います。
リーマン・ショック後、国内の株式は半値になってしまいましたし、海外の株式は一部は落ち着きを見せたものの、ドル安になることにより、株式の利益をドル安で食ってしまい。それほどの利益にはならなかったのです。
アップル株式での利益は1株180ドルで購入して360ドル前後になる時に売ってしまいましたが、その時は10株程度のみしか購入してませんでしたので、利益と呼べるほどの利益は上がっていませんでした。
不動産投資を始める
Q いよいよ不動産の話になりますね。
A ちょうど近所の物件が売りに出されたのです。駅から徒歩5分でした。私のうちの家の帰り道にある一戸建てがたまたま売りに出されているのをセブンイレブンの帰りに気がついたのです。
Q 金額はおいくらですか?
A 築25年の一軒家が土地代込で約1100万円。これを値切って1000万円まで下げてもらいました。
Q 自分で住むための家を購入する前に投資用として別の住宅を購入してしまうわけですよね?
A そのとおりです。でも株式をやっていたことにわかったのですが、継続的に毎月の家賃として利益が上がり続けるという仕組みいいと思いました。毎月の家賃としては6万円が入ってきますので年間あたりの換算額は72万円ですね。
A 継続的というのがいい。ドラクエで言えば防御力が上がるのでありだと思いました。
Q そこでドラクエですか。
A はい。
(編集部注:もうここまでくるとインタビュアーから見たNさんの印象は第一印象のクールで静かな男という印象からは離れてきていた。この男は投資活動においては非常に熱い男である。ただならぬ熱意が変態的オタク性(失礼!)を帯びているように感じる。インタビュアーである私は午後の韓流バーで生ぬるくなりかけているジョッキのビールをグイと飲み干した。Nさんと同世代ということもあり「やってられない!」という気分である。
Q 防御力というのは?
A 堅実性が大事ということがあるのです。常に入ってくる5万円と二度と入ってくるかわからない20万円では防御力の高い5万円の方が大事であるという感覚ですね。これは投資したことがないとわからないんじゃないかなあww
Q オホン!(咳き込み)1000万円の買い物に対して年72万円ですからそうすると年利換算7%の利益は上がるわけですね。
A ええ。でも借り主が出て行ってしまうと完全に無収入になるので、それほど利益率は高くないですね。空室期間が一度出てしまえば2ヶ月以上は続きますから、5%利益が上がればと考えています。
Q 利益率が5%ですか?それは少なくないですか?
A それをいかに本来の7%に近づけるかが腕の見せどころと考えています。営業をしている不動産屋さんにマージンをアップしてもいいですし、更新者に石鹸やクッキーの缶のセットを買ってきてあげてもいいのです。
Q ローンは組まなかったのですか?
A リーマンショック後で資金がなくなったわけではなくてもとしきんも有りましたし、ローンだと審査などの手間がかかるというと手取りの収入以上の借金をするのは怖かったというのがありました。
とうとう不動産への取り組みが始まったNさん。売買契約では新たな世界を垣間見ることになる。次回はNさんの内見からについてのインタビューとなる。